福岡の時代小説家・筑前助広とは?原点に迫る!

筑前助広はどんな作家?福岡生まれの時代小説家プロフィール

今回は、福岡生まれ・福岡育ちの時代小説家・筑前助広さんについて紹介します。
福岡を舞台にした作品を数多く手掛け、40代で作家デビューを果たした筑前さん。
実は元保育士という経歴を持ち、ネット小説投稿サイトからキャリアをスタートさせた異色の作家でもあります。
なぜ筑前さんは時代小説を書き続けるのか?
なぜ福岡を舞台に物語を描くのか?
そして最新作『三雲が駆ける』で伝えたかったものとは?
福岡への思い、創作へのこだわり、そして作家としての人生に迫ります。
元保育士から小説家へ。40代デビューまでの道のり

もともと小説家になりたい、といったプロ志向は全然なかったと語る筑前さん。
「ただただ、感情の発露のために小説を書いていたものの、何かに突き動かされるものがありました」
20代前半の頃から趣味で小説を書き始めた筑前さんは、当時保育士として働いていました。
「保育士になりたい」という夢を叶えて働いていた筑前さんですが、ある時期に「保育士の夢を叶えたあとの“自分の人生”はどうしよう」と考えるようになったそうです。
もちろん当時の筑前さんには、保育士を続けて管理職を目標にするという手段もありましたが、「新しい自分の夢を追うのもいいかな」と決めて保育士を辞め、忙しさでしばらく書けていなかった小説を書き始めました。
保育士を退職したあとは、ほぼ定時で退勤できる仕事をしながら、書く時間を増やしてどんどん創作にのめりこみます。
ネット小説投稿サイトから文学賞受賞まで
筑前さんは、インターネット上で小説を投稿するサイト『アルファポリス』や『カクヨム』などで時代小説を執筆していました。
それらの作品を通じてプロの作家さんの目に留まっていたので、周りから「なんで公募に出さないの?」と言われることも多かったそうです。
そして2020年にアルファポリスで歴史・時代小説大賞特別賞を受賞し、2022年に「谷中の用心棒萩尾大楽~阿芙蓉抜け荷始末~」で出版デビューを果たしました。
その後作品は文学賞にノミネートされ、見事に受賞。
当時の心境を筑前さんはこう語ります。
「ライトノベルがメインの版元からデビューした時代小説が文学賞にノミネートされるのもレアケースなので、ましてや受賞は無いだろうな、と思っていました」
そして受賞後は角川書店や早川書房といった大手出版社からも本を出しています。
筑前助広が時代小説を書き続ける理由

時代小説以外のジャンルを書くつもりは全くない、と話す筑前さん。
なぜ「時代小説」にこだわるのか、詳しく伺いました。
「時代小説家になるために作家になった」
「僕は小説家になるために作家になったわけじゃなくて、時代小説家になるために作家になった。
だから、時代小説以外を書くつもりは全くないんです」
「時代小説」と聞くと、少し敷居が高いジャンルに聞こえるかもしれませんが、筑前さんにとっての「時代小説」は一つの舞台装置に過ぎない、とのこと。
つまり、江戸時代という設定の中で、ミステリーも恋愛もアクションも描ける自由な舞台というとらえ方です。
ではなぜ現代ではなく、江戸時代なのか?という質問の答えは、「現代よりも自由度が上がるから」。
「たとえば、拳銃で撃ち合うシーンを書きたいときに現代小説でドンパチさせたら『いや、警察くるやろっ!』ってツッコミがありますよね?
でも江戸時代だとそうならない。
とはいえ全く違う世界ではなくて、命の価値観などは、わりかし現代と通ずるところもあるので、共感も得られる。
そういった意味で自由度があるので、僕は時代小説だけを書いています」
江戸時代という設定だからこそ、現代では描きにくい感情や人間模様を、まっすぐ物語にできるのだそうです。
福岡を舞台に物語を書き続ける理由
筑前さんの作品は福岡が舞台のものが多くあります。
その原点にいたのが、福岡出身の作家・葉室麟さんでした。
「好きな作家さんは数名いますが、自分の作家人生に一番影響を与えてくれたのは、葉室麟先生です。
葉室先生は福岡在住の方で、作品でもたくさん福岡を舞台にしていらっしゃいます。
実は僕、葉室先生のサイン会にも足を運んでお話させていただいたり…いわゆる押しかけファンでした(笑)
葉室先生がいたから今の僕がいる。
『福岡で書いていいんだ!僕も福岡を舞台に書こう!』って思えたのは、間違いなく葉室麟先生の影響です」
憧れの作家・葉室先生から受け取った思いは、筑前さんの最新作『三雲が駆ける』の中にも息づいています。
筑前助広最新作『三雲が駆ける』に込めた思い

筑前さんは、作品を書くときに「今の時代に感じたこと」を大切にしていると話します。
「ニュースを見たり、日々生活する中で自分が感じた感情は、作品の中に入れるようにしています」
そんな筑前さんの最新作『三雲が駆ける』のテーマは「理不尽」です。
「世の中って、色々な理不尽なことで溢れていますよね。
いろんな情報が氾濫してて、何が正解で何が不正解なのか、善悪のボーダーが見えなくなっている。
頑張っている人が報われなかったり、奪う人が得をしてしまったり…命や暮らし、未来を理不尽に奪われる人もいるし、奪う者だけが得をする社会になってるんじゃないかなと思って。
そこに待ったをかける絶対的なヒーローを描きたかったんです」
時代は違っても、『理不尽』に対しての感情は江戸時代でも現代でもリンクする…筑前さんが日常生活で抱いた感情もこめた作品です。
まとめ
福岡と聞くと、「美味しいものが多い」「住みやすい街」といったイメージを持つ人も多いかもしれません。
けれど筑前さんは、その土台になっている福岡の歴史や文化にも目を向けてほしいと話します。
「福岡って、掘れば掘るほど面白いんですよ。漫画や小説も含め、文化的資産がたくさんありますから」
今ある街並みや暮らしも、過去があったからこそ生まれたもの。
だからこそ、物語を通して福岡の歴史や文化を知ることで、いつもの景色が少し違って見えてくるのかもしれません。
福岡を舞台に物語を書き続ける筑前さんの作品には、そんな地元福岡への深い愛情が込められていました。
※ 2026年7月6日現在の情報です。
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