おやこのサロンfamilieあやかさんが届ける安心の居場所

「お母さんたちが一人で悩まず、笑顔で我が子と向き合えるような、ホッと安心できる居場所を作りたい」 そう優しいトーンで語るあやかさんは、現在、親子が笑顔になれる温かいコミュニティづくりやイベントの企画・運営に精力的に取り組んでいます。
14年間の保育士経験を経て、この春新たな一歩を踏み出したあべあやかさんにじっくりとお話を伺いました。
孤育てをなくす!おやこのサロンfamilieで心を通わせる現在

あやかさんが運営する「おやこのサロンfamilie」は、実の母親と二人で開いている無料の子育てサロンです。
月に一回、日曜日か祝日の午後、札幌市北区の会館を借りて開催しています。
平日の午前中に開かれることが多い一般的な子育てサロンでは、仕事を持つ母親や、すでにできあがったママ友グループに入りづらさを感じるお母さんが参加しにくいと感じてしまう場面がありますが、そうした「行きたいけど行けない」お母さんたちの受け皿になればという思いから、あえて休日の午後という時間帯を選んだとお話ししていただきました。
サロンでは、時間を区切ったプログラムは設けておらず、大型絵本の読み聞かせやふれあい遊びといった「お楽しみ」の時間を用意しつつも、参加は完全に自由。
いつ来てもいつ帰ってもよく、ご飯を持ち込んでもいい。子育て世帯に限らず祖父母世代が三世代で訪れてもいいという、誰が参加しても居心地の良いの居場所を目指している。
最近では新たな試みとして「夜の子育てサロン」も始められたそうです。
金曜の夜、キラキラ光るセンサリーボトルを手作りするイベントを、軽食やお菓子を囲みながら、照明を落として大人が楽しめるようなを演出もされました。
一週間の終わりの金曜の夜こそ、お母さんたちが子どもと同じ空間にいながらも大人同士でほっと一息つける時間になればという狙いだそうです。
彼女が何よりも大切にしているのは、効率的な育児テクニックを教えることではなく、お母さんたち一人ひとりの心に徹底的に寄り添い、その孤独を解消することです。
現代の社会において、核家族化や地域との繋がりの希薄化が進む中、誰にも頼れずに家の中で子どもと二人きりで過ごす「孤育て(こそだて)」に悩む母親は少なくありません。
参加したお母さんたちが、同じように悩む仲間と出会い、他愛のないおしゃべりを交わすうちに、張り詰めていた表情がみるみるうちに和らいでいく。
イベントの場では、子どもたちがのびのびと遊ぶ姿を見守りながら、お母さんたちがホッと一息つけるお茶の時間を設けたり、育児のちょっとした知恵を共有し合ったりする。
単なる一時的なイベントの開催にとどまらず、そこから新しいママ友の輪が広がり、日常的な支え合いが生まれるような「心のセーフティネット」としての役割を、おやこのサロンfamilieは見事に果たしています。
おやこのサロンfamilieの原点にある自身が孤立に苦しんだ過去

あやかさんは今年3月まで、札幌市の公立保育所で14年間保育士として働いていたそうです。退職を決めた背景には、ここ数年の厳しい生活があったといいます。
「数年前からチーフや主任など全体をフォローする役割となり、仕事はより激務になりました。」
夜も何度も目が覚め、シフト制で出勤時間が変わっても目覚まし時計の3分前には必ず目が覚めてしまう。
そんな状態が何年も続き、あまりの眠れなさに病院を受診したところ、医師からは「ずっと躁うつ状態が続いているね」と告げられたそうです。
悪化することも良くなることもなく、その状態を保ち続けているような感覚だったといいます。
躁うつの症状で朝食や昼食もとれない日々があったそうです。
家に帰ると倒れ込むように疲れ果て、育児どころではない日々。
お子さんの学童保育の延長も習い事の送迎も難しく、実の母親に高速道路を使って、夕食作りから送迎まで助けてもらうことで、なんとか乗り切っていたといいます。
周囲からは「頑張りすぎている、倒れてしまう」と何度も心配されていたが、あやかさんは「特別なことをしているつもりはなかった」と振り返っていました。
また保育士として長年多くの母親たちと接する中で、みな一生懸命なのに、保育園でできることには限界があると感じ続けてきたそうです。
子どもを預けている間は母親自身の時間ではなく、本当に大変なのは家に帰ってからの時間だと痛感していました。
その余白を作るには、保育園という枠の外に出るしかない ―― その思いが、退職後の活動へとつながっていったそうです。
笑顔の輪を地域へ!おやこのサロンfamilieが描く温かい未来

これまでの歩みを経て、多くのお母さんたちから絶大な信頼を寄せられるようになったあやかさんの視野は、さらに未来のビジョンへと向いていました。
今後について尋ねると、阿部さんの答えは意外にも「規模を広げるつもりはない」というものでした。
「参加人数を増やしたり、サロンを有名にしたいという気持ちは一切なく、人が増えるほど一人ひとりへのケアは難しくなってしまう。
むしろ、自分を頼ってくれる半径5キロほどの身近な人たちと、長く深い関係を築いていきたい」と考えているそうです
大切にしているのは「困ったときに、私がいるよ」と伝えられる存在になることだそうです。
「無理に抱え込まず、札幌市の制度や公務員保育士時代に培った人脈など、その人に合った他の支援先を紹介することできる」と力強いお言葉をいただきました。
実際に顔を合わせ、言葉を交わし、時に一緒に笑い合うことで生まれる「本当の繋がり」を、より強固なものにしていきたいという強い想いが感じられました。
まとめ
あべあやかさんの活動の根っこにあるのは、保育士として最前線で見てきた母親たちの奮闘と、自身も激務と育児の両立に苦しんだ経験からだと感じました。
だからこそ彼女が目指すのは、大きく広げることではなく、目の前の一人ひとりと深く長く付き合っていくことという思いが強く伝わります。
月一回の親子サロン、始まったばかりの夜のサロン、そして訪問ケアやオンライン保育。
規模は決して大きくないが、そのぶん一人ひとりへの眼差しは丁寧。
「困ったときはここにいるよ」と静かに伝え続ける阿部さんの姿勢に、これからサロンを訪れる親子はきっと安心を見出すはずです。
※ 2026年7月17日現在の情報です。
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