百間川沿いのテイクアウト専門店。樹木珈琲が1周年を迎えた


百間川沿いのテイクアウト専門店。樹木珈琲が1周年を迎えた

岡山市中区沖元。のどかな空気が流れる百間川の堤防沿いから、細い路地へと一本入ったところ。

どこか懐かしい風景が広がる静かな住宅地に、ふと目が留まる手書きの温かい黒板メニューがあります。

そこには「樹木」の文字。「キキ」と読みます。

お店の名前は「樹木珈琲(キキコーヒー)」。

2025年6月17日に産声を上げたこの小さなテイクアウト専門カフェが、2026年6月17日に瑞々しい1周年を迎えました。

「地中海沿いの街並みをイメージして、古民家と融合できる様にコーディネートしてもらいました」

とお話されたカウンターの雰囲気は、優しい雰囲気で居心地がよく、老若男女問わず誰もが気軽に繋がれる場所。

すぐそばに誰かがいてくれるような温かい「集いの場」を提供したいという、店主・浮田めぐみさんの真っ直ぐな想いがそこかしこに宿っています。

さらに、「Taste the Season(季節を味わう)」も大切にされている想い。

日々少しずつ移ろいゆく四季折々の気配を、一杯のコーヒーと自慢のお菓子を通して五感で感じてほしい。

そんな細やかな願いとこだわりが、このお店のすみずみにまで心地よく宿っています。

静かな住宅地で出会う、ゆったりと流れる時間

百間川沿いのテイクアウト専門店。樹木珈琲が1周年を迎えた

取材に訪れた日も、

「ずっとSNSで見かけて気になっていて、今日やっと来られたんです」と嬉しそうに話すお客さま。

ドライブの途中に車でふらりと立ち寄って焼き菓子をお土産に購入していく方。

それぞれが思い思いのペースで大切な時間を楽しんでいました。

めぐみさんは訪れる一人ひとりの目を見て丁寧に言葉を交わしながら対応しており、その穏やかで温かみのあるやりとりが、このお店の持つアットホームな魅力をそのまま体現していました。

お店は、めぐみさんの祖父母が長年大切に守ってきたお宅を丁寧に改築したものです。

小学6年生という時期までここで過ごしたという、人生のルーツとも言える特別な場所に念願の店を構えました。

広々とした住宅地の中にあるこのお店には、都市部のカフェや喫茶店とは一味違う、独自のゆったりとした時間が流れています。

木のぬくもりが伝わる優しい間口で注文し、出来立てを受け取る。

そのわずかな時間であっても穏やかな空気に包まれ、初めて訪れた人であっても自然と肩の力が抜けていきます。

めぐみさんがこの道を志したきっかけは、喫茶店巡りが好きなお母さまの影響を強く受けたことです。

一旦就職して、OLとして働いた後もその気持ちを持ち続けました。

そして一念発起し、岡山市内の人気店・キノシタショウテンへ。

コーヒーの知識や技術、お菓子作りをはじめ、店づくりの全般を丁寧に学び、独立の機をじっくりと待ちました。

「これまで経験してきたすべての出来事が、今のゴールへとつながっている」という揺るぎない確信が、今日までのめぐみさんの歩みを力強く支えてきました。

ショーケースに並ぶ、とっておきの焼き菓子たち

百間川沿いのテイクアウト専門店。樹木珈琲が1周年を迎えた

小さな木製の注文窓口では、かわいらしい黒猫のぬいぐるみが優しくお店を見守っています。

そのすぐ横にあるガラスのショーケースには、レモンケーキ、オレンジケーキ、フィナンシェなどが美しくずらりと並び、思わず目移りしてしまいます。

中でも不動の看板商品である「レモンケーキ」には、地元のレモン農家さんが丹精込めて育てたこだわりのレモンを使用しています。

一口含めば、ふわっと広がるレモンの爽やかな香りと、ちょうど良い上品な酸味が口いっぱいに広がります。

バター生地のしっとりとしたコクと、口溶けの良いシュガーコーティングの見事なバランスは、コーヒーとの相性も抜群です。

まさに農家さんの情熱と、レモン本来のフレッシュなおいしさがぎゅっと詰まった至極の一品です。

季節の移り変わりとともに登場する限定メニューも訪れる楽しみのひとつ。

「Taste the Season」の言葉通り、四季の美しさは、焼き菓子という小さなキャンバスの中にも鮮やかに息づいています。

何度訪れても新しい発見と喜びに満ちた、特別なお菓子たちです。

注文を受けてから詰めるシュークリームと、絆から生まれた一杯のコーヒー

百間川沿いのテイクアウト専門店。樹木珈琲が1周年を迎えた

今回いただいたのは、お店自慢のスペシャルティコーヒーとシュークリームです。

こちらのシュークリームには、松崎牧場の新鮮な牛乳と、たまご屋阪本鶏卵の濃厚な卵という、生産者の顔が見える厳選された素晴らしい素材を使用しています。

素材本来の豊かな味わいと、とろけるような口どけに仕上げた自家製のカスタードクリームを、注文を受けてからたっぷりと贅沢に詰め込んだ、シンプルながらも非常に奥深い一品です。

一口かじれば、なめらかなカスタードとサクサクとした香ばしいシュー皮が織りなす絶妙なハーモニーに、思わず夢中になってしまいます。

そこにそっと寄り添うのが、コーヒー農家さんと共に作り上げたコーヒー豆を使用した特別な一杯です。

その一杯には、産地の想いやストーリーが優しく凝縮されており、多様な味わいや豊かな香りを心ゆくまで楽しむことができます。

注文ごとに丁寧にハンドドリップで抽出し、豆の膨らみ方やその日の外気温・湿度に合わせて、お湯の温度や蒸らし時間を細かく微調整する職人気質の細やかな仕事が、雑味のないクリアで透き通った味わいを生んでいます。

至福の癒しの一杯でした。

これほどこだわった本格派でありながら、600円からという良心的な価格設定も普段使いしやすくて嬉しいところです。

のんびりとした住宅地の静けさの中で味わうこの一杯は、慌ただしい日々を過ごす私たちにとって、何物にも代えがたい極上の「心の栄養」となってくれます。

まとめ

現在、自身の子育てとも両立しながら、自分らしい等身大の歩幅でお店を本当に大切に切り盛りされているめぐみさん。

これからの未来に向けた展望についてお話を伺いました。

「いつか、この地域の素敵な出店者さんや、地元に住む地域の方が気軽に集まれる温かい場所を作りたいです。みんなで楽しめるマルシェを主催するのが私の大きな夢なんです」と、少女のようなキラキラと輝く瞳で語ります。

驚くべきことに、めぐみさんはすでにその夢の実現に向けて、マルシェ運営のノウハウを専門的に学び始めていると言い、その高い行動力と熱意には本当に脱帽させられます。

夢を語る言葉に一切の曇りや迷いがないのは、この激動の1年間、誠実にお客さまと向き合い、着実に地域での信頼を積み上げてきた確固たる自信がめぐみさんを支えているからだと深く感じました。

「ここに来れば、誰かが温かい笑顔で待っている」。

そんな場所でありたいというめぐみさんの想いは、すでにお店の心地よい空気そのものとなっています。

営業日にはInstagram(@kikicoffee_okayama)で当日の焼き菓子ラインナップとコーヒーの情報が発信されるので、訪問前にぜひチェックしてみてください。

岡山市中区の静かな住宅地にひっそりと佇む「樹木珈琲」には、店主の温かな真心と美味しい魔法がたくさん宿っています。

ぜひ一度、その温かい扉をそっと叩いてみてください。

施設情報
施設名樹木珈琲
住所〒702-8001 岡山県岡山市中区沖元462

2026年7月17日現在の情報です。

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